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不動産コンシェルジュのブログ

【要注意】不動産一括査定サイトの高額査定は信用不可? 大手がやりがちな“囲い込み”の実態

2025-12-10 18:20:35
2025-12-11 09:07:35
目次

【不動産一括査定サイトの“高額査定トリック”】

その査定額、売れるどころか“ミスリードの罠”かもしれない

不動産を売却するとき、よく目にする「一括査定サイト」。
“最短60秒であなたの家の価値がわかる”“最高額がわかる”など、魅力的なコピーが並びます。

しかし、不動産の専門家として強く言いたいことがあります。

査定価格は買取価格ではない。
そして 高額査定=信頼できる会社 では絶対にない。

むしろ、最近の一括査定サイトは
消費者をミスリードする構造そのものが問題
となっています。


■ 一括査定サイトの本質は“営業リスト収集ツール”

多くの売主は、
「複数社が競い合って高く売ってくれる」と誤解しています。

しかし現実は違います。

● 実態は「複数の不動産会社へ同時にあなたの個人情報が送られる仕組み」

不動産会社は査定のためではなく “売却見込み客の情報” を得るために登録しています。
これは業界の常識であり、表向きには言いませんが、大手ほど積極的です。

その結果──

  • 電話が鳴り止まない

  • “とりあえず会わせてください”攻撃

  • 必要もない訪問査定を押し付けられる

売主側のストレスは相当なものです。


● 高額査定は“釣り”であることが多い

不動産会社は、
「自社と媒介契約を結ばせる」
ために、わざと高い査定額を提示するケースがあります。

これは業界内で“囲い込みの第一歩”とも言われます。

売主は当然、

「高く売ってくれる会社がいい」
と思います。

そこで、相場より200〜500万円高い“非現実的な数字”を提示すれば、
売主の心は簡単につかめます。

しかし、その高額査定は──

  • 実際には売れない

  • 結局、値下げを繰り返す

  • 売却期間が長期化する

  • 最終的に“相場以下”で売る羽目になる
    という典型的な悪循環を招きます。

● 大手不動産会社も例外ではない

むしろ“大手ほど査定額のインフレ”が起きています。
理由はシンプル。

  • 店舗網が多く、案件ノルマが厳しい

  • 営業マンの評価=獲得件数

  • 契約を取るためなら高額査定を提示してしまう仕組みがある

「大手だから安心」という思い込みこそ最も危険です。


■ 最大の問題:査定価格と“買取価格”をごっちゃにするミスリード

一括査定サイトの多くが説明していませんが、
査定価格はあくまで“売れるかもしれない値段”であって、会社が買い取ってくれる保証は一切ない ものです。

しかし、多くのサイトが以下のような表現でユーザーを誤解させています。

  • 「あなたの不動産の価値がわかる」

  • 「最高額で売れる会社が見つかる」

これは明確なミスリードです。

● 売れる価格=市場が決める

売主が高く売りたくても、

  • エリアの需要

  • 築年数

  • 修繕状態

  • 周辺取引事例

などによって価格は決定されます。

査定額は会社によって±30%以上ブレることも珍しくありません。
高い会社が正しいのではなく、
相場から外れた数字を提示する会社こそ危険 だと知るべきです。


■ 査定価格を釣り上げる大手の“囲い込み戦術”

大手の中には、契約を取った後…

  1. 高額の売出価格で市場に出す

  2. 数週間売れない

  3. “相場はもっと低い”と言い値下げを提案

  4. 結果として「普通〜安値」で売却

という流れに持ち込むことがあります。

売主からすると、

“最初から正しい相場価格で出していればもっと早く売れたのに…”
という典型的な失敗例です。


■ 不動産コンサルタントとしての結論

✔ 「高額査定=良い会社」ではない
✔ 一括査定サイトは“営業リスト獲得ツール”であり公平ではない
✔ 大手だから安心という思い込みは危険
✔ 真のプロは“根拠ある相場価格”しか言わない

最も重要なのは、
「査定額」ではなく「売却戦略」
です。

・なぜその価格なのか
・どのように売却活動をするのか
・想定売却期間はどれくらいか
・値下げ戦略はどう考えているか

これらを説明できない会社に依頼してはいけません。


■ まとめ:一括査定を使うなら“だまされない知識”が必要

一括査定サイトを完全否定するわけではありません。
比較材料としては便利ですし、うまく使えば有益です。

ただし、以下だけは忘れてはいけません。

◆ 高額査定を提示する会社=信頼できない会社

◆ 査定価格は“買い取り保証”ではない

◆ 大手だから正しい査定をするとは限らない

不動産売却は人生でも大きな取引です。
数字の裏側にある意図を読み解けるかどうかで、結果は大きく変わります。


この記事を書いた人

raison d'être

不動産コンシェルジュ 大学卒業後、司法書士事務所および不動産会社にて実務を経験。平成12年に有限会社キートスエージェンシーを設立し、不動産売買仲介・不動産コンサルティング業を展開。 翌平成13年よりファイナンシャルプランナーとしての業務を開始し、現在は「独立系・中立の立場から」個人・法人双方の資産設計や財務戦略をサポートしています。 不動産とお金の両面から、最適な人生設計を提案する“トータルアドバイザー”として活動中です。 <資格> 法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 登録調停人候補者、CFP®(日本FP協会認定 J-90126303)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、宅地建物取引士、宅建マイスター、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、賃貸不動産経営管理士、不動産キャリアパーソン、住宅ローンアドバイザー(5)第0601837号、少額短期保険募集人資格/損害保険募集人資格 <講師・役職歴> ・総合資格学院 非常勤講師(宅建講座・登録実務講習講師) ・東海地方の大学にて「資産運用講座」「相続講座」などを担当 ・(公社)愛知県宅地建物取引業協会 名西支部 副支部長(2012年度~) ・同協会 理事(2015年度~)、同協会 名西支部 評議員・幹事(2004~2011年度)