【不動産一括査定サイトの“高額査定トリック”】
その査定額、売れるどころか“ミスリードの罠”かもしれない
不動産を売却するとき、よく目にする「一括査定サイト」。
“最短60秒であなたの家の価値がわかる”“最高額がわかる”など、魅力的なコピーが並びます。
しかし、不動産の専門家として強く言いたいことがあります。
査定価格は買取価格ではない。
そして 高額査定=信頼できる会社 では絶対にない。
むしろ、最近の一括査定サイトは
消費者をミスリードする構造そのものが問題
となっています。
■ 一括査定サイトの本質は“営業リスト収集ツール”
多くの売主は、
「複数社が競い合って高く売ってくれる」と誤解しています。
しかし現実は違います。
● 実態は「複数の不動産会社へ同時にあなたの個人情報が送られる仕組み」
不動産会社は査定のためではなく “売却見込み客の情報” を得るために登録しています。
これは業界の常識であり、表向きには言いませんが、大手ほど積極的です。
その結果──
電話が鳴り止まない
“とりあえず会わせてください”攻撃
必要もない訪問査定を押し付けられる
売主側のストレスは相当なものです。
● 高額査定は“釣り”であることが多い
不動産会社は、
「自社と媒介契約を結ばせる」
ために、わざと高い査定額を提示するケースがあります。
これは業界内で“囲い込みの第一歩”とも言われます。
売主は当然、
「高く売ってくれる会社がいい」
と思います。
そこで、相場より200〜500万円高い“非現実的な数字”を提示すれば、
売主の心は簡単につかめます。
しかし、その高額査定は──
実際には売れない
結局、値下げを繰り返す
売却期間が長期化する
最終的に“相場以下”で売る羽目になる
という典型的な悪循環を招きます。
● 大手不動産会社も例外ではない
むしろ“大手ほど査定額のインフレ”が起きています。
理由はシンプル。
店舗網が多く、案件ノルマが厳しい
営業マンの評価=獲得件数
契約を取るためなら高額査定を提示してしまう仕組みがある
「大手だから安心」という思い込みこそ最も危険です。
■ 最大の問題:査定価格と“買取価格”をごっちゃにするミスリード
一括査定サイトの多くが説明していませんが、
査定価格はあくまで“売れるかもしれない値段”であって、会社が買い取ってくれる保証は一切ない ものです。
しかし、多くのサイトが以下のような表現でユーザーを誤解させています。
「あなたの不動産の価値がわかる」
「最高額で売れる会社が見つかる」
これは明確なミスリードです。
● 売れる価格=市場が決める
売主が高く売りたくても、
エリアの需要
築年数
修繕状態
周辺取引事例
などによって価格は決定されます。
査定額は会社によって±30%以上ブレることも珍しくありません。
高い会社が正しいのではなく、
相場から外れた数字を提示する会社こそ危険 だと知るべきです。
■ 査定価格を釣り上げる大手の“囲い込み戦術”
大手の中には、契約を取った後…
高額の売出価格で市場に出す
数週間売れない
“相場はもっと低い”と言い値下げを提案
結果として「普通〜安値」で売却
という流れに持ち込むことがあります。
売主からすると、
“最初から正しい相場価格で出していればもっと早く売れたのに…”
という典型的な失敗例です。
■ 不動産コンサルタントとしての結論
✔ 「高額査定=良い会社」ではない
✔ 一括査定サイトは“営業リスト獲得ツール”であり公平ではない
✔ 大手だから安心という思い込みは危険
✔ 真のプロは“根拠ある相場価格”しか言わない
最も重要なのは、
「査定額」ではなく「売却戦略」
です。
・なぜその価格なのか
・どのように売却活動をするのか
・想定売却期間はどれくらいか
・値下げ戦略はどう考えているか
これらを説明できない会社に依頼してはいけません。
■ まとめ:一括査定を使うなら“だまされない知識”が必要
一括査定サイトを完全否定するわけではありません。
比較材料としては便利ですし、うまく使えば有益です。
ただし、以下だけは忘れてはいけません。
◆ 高額査定を提示する会社=信頼できない会社
◆ 査定価格は“買い取り保証”ではない
◆ 大手だから正しい査定をするとは限らない
不動産売却は人生でも大きな取引です。
数字の裏側にある意図を読み解けるかどうかで、結果は大きく変わります。